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笹幸恵
2020.11.23 18:28日々の出来事

もはや日本語がおかしい。

先週1週間、TVのワイドショーは「マスク会食」ばかり
取り上げていた。
「ビール飲んだらマスク、おつまみつまんだら、はいマスク」
「マスクを外している間はしゃべっちゃダメ」
「ちょっとラーメンは食べづらい」
などなど、バカバカしい検証を繰り広げていた。
コメンテーターも笑い飛ばすのかと思いきや、
やや困惑気味になりながら
「きちんと守らないといけませんよね・・・」だって。
まったく茶番もいいところだ。

もっとも、使用済みマスクは菌だらけという情報も
入っているらしく、
食事のときは新品に変えろというススメもあった。
いや、それだって厳密にいえば使用済みマスクを
外した手で新品を触れば、同じように
菌がついちゃうでしょ?
何をしたって菌だらけよ?
というか、飛沫防ぐ話はどこいった?
いつの間に菌の話になったんだっけ???
もはや何から身を守ろうとしているのかもわからない。
正気か。

新聞では、マスク会食についての囲み記事が載っていた。
食事中のマスクの着脱方法について細かく記されている。
見出しは「話さず食べる『マスク会食』」。
もはや日本語がおかしい。
話さないで会食???
これ、校閲はスルーしていいんですか。
あまりにも非現実的。こんなものは成立しないと、
チェックを入れないといけないのではないですか。

2日後、今度は政府の呼びかけとして、
「感染リスクが高まる『5つの場面』」という
注意を促す記事が載った。
こんな場所でリスクが高まりますよ~というわけで、
1.飲酒を伴う懇親会、2.大人数&長時間の飲食、
3.マスクなしの会話、4.狭い空間での共同生活、が
あげられていた。
そして5は「居場所の切り替わり」。
なんのことかと思ったら、こう解説されていた。

「仕事の休憩中など、喫煙所や更衣室では気が緩み、
感染する恐れがある」

?????


いつの間にか、コロナは気が緩むと感染する
シロモノになっている。
呆れるのを通り越して、もう笑うしかない。
政府関係者は、誰か、日本語がおかしいよって
止めなきゃダメでしょう!!!

要するに、いつでもどこでも
「人を見たらコロナと思え」
「気を緩めるな!」と言いたいのだろう。
もういい加減にしてほしい。
とことん感染を抑えようとしたって、
それ自体がそもそも不可能なのだから
ますますおかしな方向に行くだけだ。
専門家任せの政府や各都道府県知事の
「とりあえず対策してます感」も、ウンザリだ。

で、近所のレストランにランチに出かけたら、
「マスク会食」をしている人など一人もいなかった。
皆、向かい合ってぺちゃくちゃおしゃべり、
飛沫を飛ばしまくっている。
後ろの席にいた若い女性二人なんかランチで2時間
居座って、エンドレスでしゃべり続けていましたよ。
そんなもんだよね。
やってられるか。

日常とメディアの感覚の乖離が甚だしい。
笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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